- Vol.67 june 2009 - |
子育ての心、保育の心 19 |
(社)全国ベビーシッター協会 会長 |
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| これまで長きにわたって、三つの感覚的協応の意義と具体的なかかわりについて述べてきました。子育ての心、保育の心の原点に三つの感覚的協応を置くことの重要性は、とりわけ乳幼児期の子育てや保育、べビーシッティングにおいて深々と捉えておくことが重要であると思います。その間に、きわめて多くの子どもたちは、第一の安全基地、そして第二の安全基地を獲得していきます。 |
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| この原点をとくに重視した子育てや保育は、いつ頃まで大切なことなのでしょうか。私は、基本的にその人が思春期に入る頃まで必要であると考えています。つまり、子どもが第一の安全基地をあまり求めなくなり、誰かが保護して見守ってくれているかどうかという思いで後ろや周りを振り返るという典型的な心理的仕草がほぼみられなくなり、第二の安全基地を形成しながら基本的に自立が可能となるまでの時期です。
この時期における大人たちの、三つの感覚的協応を伴う心豊かなかかわり、そして子どもを肯定的に受け止めようとする態度や心遣い、気遣いという「ケア」の神髄を伴う心豊かなかかわりは、どの子どもたちにとっても、喜びや幸福感をもたらすもののように思えます。 |

| 近代教育学の父と呼ばれたコメニウスが、17世紀の半ばに、「大教授学」という書を著しました。この書は、今日に至る教育システムの基礎を先駆的に示したものです。彼は、学校の系統を示すなかで、子どもの発育段階に応じた人生における最初の学校を「スコラ・マテルネ」と呼びました。これを直訳しますと、母親的学校、母性的学校ということになります。 そして、スコラ・マテルネは、すなわち“母親の膝”であると述べています。まさに、以前詳しく述べたマターニシティそのものです。そこには、人生における最初の学校は、母性的な環境であってほしいというコメニウスの願いが込められています。 また彼は、スコラ・マテルネは気持ちのよい春、草木の若芽やとりどりの香気を漂わせる花に粧(よそお)われた春にあたるものであり、さらにこの学校を庭園にたとえ、スコラ・マテルネでは、両親や乳母の心遣いによって立派な訓練を受けた幼子は、注意深く土に植えられたしっかりと根を張って小さな枝を出し始めた若木に似てるとみてよいだろうと述べています。 |
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| さて、この理念は、今日に至るまで、乳幼児の保育や教育の原理として受け継がれている部分があります。この時期に、いやそのはるか以前から重要な保育・教育を担ってきた乳母は、今様にいえば、まさに専門保育者であり、今日の保育士、幼稚園教諭、小学校教諭、家庭的保育者、ベビーシッターそのものといえます。
スコラ・マテルネの理念は、子どもが育てられていること、そして自らも勢いよく育っていることにしっかりと目を向け、心を向けた育ての営みの理念です。 |
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網野武博(あみのたけひろ) 東京大学教育学部教育心理学科卒業。厚生省児童家庭局児童福祉専門官、日本総合愛育研究所研究第5部長、調査研究企画部長、東京経済大学教授、上智大学教授を経て、現在、東京家政大学教授。中央児童福祉審議会委員、東京都児童福祉審議会委員長、日本子ども家庭総合研究所客員研究員、日本福祉心理学会常任理事、全国ベビーシッター協会会長 |
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abainfo@netcircus.com |